春にして君を離れ [Christie]
実はこれはクリスティーのミステリーものではないんです。
メアリ・ウェストマコット名義で出され、四半世紀以上自身が著者であることを
漏らさないようにしたことで有名な作品なんです。
ミステリーだと思って買った読者ががっかりしないようにって。
でもですね、正直、殺人より何よりもこわかったです。
人間の感情ほど、目にみえるものが全てじゃないってことかな?
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。
ただの恋愛小説なんだろーか?とか、私はなんの予備知識なく読んだので、
終わったあとのなんともいえない虚無感というか、哀しさに圧倒されました。
こんな風に書くとおおげさに思われるかもしれないけど、
何もかもうまくいっているこの目の前の幸せが全て違うとしたら?
なぜ、夫は自分のことを「Poor little Joan」と呼ぶのだろうか?
なぜ夫は最終的にはにっこり笑って自分の言う通りにするのだろうか?
なぜこども達は私を蔑んだような目でみるのか?
そんな疑問が次々とうかんできます、でも気のせいだろう...と。
そして旅行から帰ってきた自分を夫はどう迎えてくれるのだろうか?
自分は一人ぼっちじゃないと思う、そして夫はぼくがいるよと言ってくれるが...
最後の夫、ロドニーの言葉はそれは優しさなのか残酷なのか?
よくわかりませんでした。解説にもあったけど、それはヒトによって感じ方が違うらしい。
私はとても怖く残酷な小説だと思いました。女性だからかな~?
こんにちは。
男と女は、年がいって一定の役割を果たすと、あとは自分の考え生き方が前に出始めますね。
by Baldhead1010 (2006-05-01 14:37)
Baldhead1010 さん、nice!とコメントありがとうございました。本当、これを読んだらそう思いました。私はまだ役割を果たしていない若輩者かもしれませんが、考えさせられる一冊でした。
by かずかず (2006-05-01 23:19)